ico -霧の城- 宮部みゆき レビュー・ネタバレ有

 初めて宮部みゆきさんの本を読みました。
icoはもともとはゲームが原作で、それを宮部さんがノベライズされました。
実は読みたかった本が無くて適当にこれを選んだのですが、結果的に良作と巡り合えたことになり幸せな気持ちでいっぱいです。

あらすじ

霧の城が呼んでいる。
時は満ちた、生贄を捧げよと。
何十年かに1人生まれる、小さな角の生えた子。

頭の角は、生贄であることの、まがうことなき「しるし」。
13歳のある日、角は一夜にして伸び、水牛のように姿を現す。
それこそが「生贄(ニエ)の刻(とき)」。
なぜ霧の城は、角の生えた子を求めるのか。

ico -霧の城- あらすじ

ゲームと小説

ICO
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icoというゲームの存在すら知らなかった私ですが、こちらの作品を読むに当たって興味を持ちました。
と言うか作中では廃墟のような城の中を進んでいく描写が多く、読んではいるもののなかなか情景が想像できない所があるんですね。
しかしゲームをする時間もないし(本当はやりたい)……ということで、youtubeで実況動画を見つつ読むと、すんなり頭の中に入ってくるわけです。
主人公やヒロインの容姿や舞台の寂し気な雰囲気もわかり、さらに楽しむことが出来ました
ネタバレを見ない程度に様子をみつつ見ていくのがオススメです。笑
そういう点では、ゲームをご存知の方にとってはすんなり没入できる作品なのではないでしょうか。

ゲームではオープニングでいきなりイコが霧の城へと連れてこられていましたが、小説ではイコが城へ連れてこられるまでの悲しい道のり、親友や家族との別れ、彼らの人間味のある性格などがかかれており、これから始まる恐ろしい試練への不安を煽っています。

オススメ実況動画>>ico イコ 実況PLAY【♯1】 チキンさん

ってかエンディング見たらめっちゃ泣けるやないかーい
この音楽は反則……!

感想(ネタバレ有り)

すごく良かったし、めちゃくちゃ好みでした。
まずゲームで語られてない部分をあんなに膨らませるのがすごいし、文章もキレイでやっぱり宮部さんはスゴイ! (初めて読んだんだけど)
話としても不思議な雰囲気や謎がたくさん出てきて、それがまた気になって面白い!

トクサの村で言い継がれる「北の山を見てはいけない」とか、見たら頭がおかしくなるとか…そんなん言われたら絶対見ますよね! この村に生まれていなくて本当に良かったと思った瞬間ベスト1位でした。

個人的に表現ですごいって思ったところは、村長の心情を表している部分で、彼の心もまた石になってしまえばどれほど楽であろう。って書いてある次のページをめくったとたんにシーンが変わっていて(シーンが変わった描写は書かれてない)トトの見た景色に変わっているところですね! ここはすごくて感動しました。見事に石がマイナスな要素として描かれてあります。後に様々な人が石になったりしていくわけですが…ここを印象付けることによって石をもっと恐ろしく感じられるように仕立て上げてありますね。 知らんけどたぶんそうだと思う。

――その先では、封印の石像が無表情の下に謎を隠して、二人を待っていた。――p158
 ここの文章もすごく好きです。
 無表情の下に謎を隠してるんですよ? 
 どういうことなのか自分の口では説明できないのに、この文を読んだだけでストンと腑に落ちます。
こういう綺麗で表現豊かな文章を書けるようになりたいものです。

ヨルダの過去
怖いしめちゃくちゃ引き込まれる。お母さん怖い。怖すぎ。
それに引き換えヨルダはすごく潔白で優しくて姫代表って感じで本当に可愛い、若い時はこういう女の子が特別すきってわけじゃなかったんですが(なんかいい子過ぎてつまんないって思ってたんですよね)最近年を重ねるにつれ、許容範囲が広がってきました。
だって本当にこんな風に性格のいい人って結構存在するんですよね。癒しですよ、癒し。
マジで心が洗われる。だから、そんな人を大切にしていきたいと思いました。(何の感想?)
可愛くて強い。だけど脆い部分もあって……そんなの好きになるしかないですよね。
数時間前に出会ったばかりの女の子のためになんでイコはここまでするんだよと思わなくもなかったですが、こんな女の子いたら守りたくなるしその人の為に涙も流すよね。
母親への情と怒り・悲しみの間で揺れ動くヨルダの様子は見ていて辛かったですね。
でも、こうやって登場人物が葛藤して悩む姿が描かれているのを読むのがとても好きです。その先に成長があるからして! 悩んだら悩んだ分だけどんな答えを出すのか楽しみになってしまいます。彼女の決断は悲しい結果を呼んでしまいましたが、、それでも最後の最後にはきっと彼女にとってもハッピーなエンドですごくよかったです。

二人の子供
また、イコ自身は本当の両親をしらないわけですが、それでも継母さまに本当に愛情を持って育てられてきました。
ヨルダは逆なんですよね。実の母親だったのに、そこには愛情がなかったと。。
だからなんだって話なんだけどw 
愛を知っている子は人の為に怒ることが出来ますね。イコのように。。

化け物の正体だったニエ達
封印の剣に映るニエ達の過去は涙なしでは見られません。
ここの文章が綺麗すぎて感動します。あと泣けます。
>――いつも輝いていた。――
こんなん書かれたら泣かざるを得ない。
輝いて幸せに暮らしていたのに! ってなりますよね。こんなん泣けるわ。おいおい泣きました。

トト
生き返ってくれてありがとう。ほんとに良かった。良かったね。泣きました。(泣きすぎ)

最後

――長い物語の終わりに、陽は高く輝く。――
長い物語=呪いの終わりですよ! ってことは、ヨルダは人間の体を得てこれからはイコ達と楽しく失った時間を取り戻さなくちゃならないんですよ!(独自の解釈)
ヨルダがイコだけを城の外に出してるときは本当に不安と諦めしかなかったけど、最後…最後また出会えて良かった。もう良かったしか言うことないけど本当に良かった。
最後もっと書いて! みたいな所で終わるのが本当プロの技ですね。。
イコがみんなと再会するシーンも読んでみたかったです。

本当に本当に、ゲームにはないところを綿密に想像を膨らませて、重厚な物語に仕上げられているところは脱帽です! 宮部さんのファンになります。

ico 霧の城 評価

私はすっごく楽しめたんでゲーム知らない人にでもかなりお勧めしたいんですが、こちらの作品は賛否両論あるようですね!
きっとゲームのファンの人々からは、なんか違うな? って部分もあったりするのかなと推測しました。
小説から入る分には何も問題なく楽しめたので、もしかするとゲームやる前に読んで良かったのかもとすら思えます。ただやっぱりダンジョンの構造やらは文章では理解しにくいところがありますので、そういった部分ではゲームを知る人の方が楽しめそうです。ストーリー的には小説を読むだけでも全然楽しめます。ファンタジー好きな人に読んでもらいたいです。ファンタジーといっても大冒険! ってな感じではないけど、少しダークでもの悲しい、けど最後には希望がある、そんなお話でした。
美しい文章と雰囲気が独特で没入感がすごい! 続きがとても気になるのでサクサク読めます。


それではごきげんよう( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

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